はじめに
先日、「新しいプレイ方法」と称して公式に新ルールの導入がアナウンスされた。ハースストーンを起動したときにお知らせが出るので気になっている人も多いだろう。
詳しくはリンク先にあるが、簡単に言えば以下の2つの対戦フォーマットができることになる。
- スタンダード 基本とクラシックのカードセットとその年と前年にリリースされた新しいカードのみが使える
- ワイルド 今までリリースされた全てのカードが使える
大事な点は、「スタンダード」がハースストーン選手権ツアーの公式フォーマットになる、という点。ランク戦/フレンド戦は二つのフォーマットで遊ぶことができるが、より競技性の高いスタンダードの方がプレイ人口が多くなることが予測される。(闘技場と酒場の喧嘩はワイルドフォーマットのみ)
また、これはあくまでも個人的な予想だが、日本の冬季地域予選(3/12-13)のすぐ後あたりに新セットとともに新フォーマットが導入されるのではないかと考えている。
アドベンチャーで手に入るカードの扱いなど、細かい点に関しては上記公式ページ「新しいプレイ方法」のFAQなどで確認してほしい。
発表からニ週間以上経って議論が落ち着いてきたので、主にこのブログで多く触れてきた無課金・少額課金でのプレイにどのような影響があるかを考えてみたい。
無課金・少額課金プレイへの影響
スタンダードフォーマットが主軸になる
手に入れられるカード数に限りがあるプレイ方法では全てのカードが使用できるワイルドを視野にいれてコレクションを運用するのは難しい。したがって新規で無課金・少額課金プレイを考えるとスタンダードフォーマットに的を絞るのが現実的となる。
今春からスタンダードで使えないカードセットが発生する
今までの新拡張/アドベンチャーのリリース間隔から見て、3月(遅くとも4月)には新しい拡張セットがリリースされると予想される。その際に一昨年以前にリリースされたGvG(ゴブリン vs. ノーム)とNaxx(ナクスラーマスの呪い)に含まれるカードが使えなくなる。
廉価/初心者用デッキで影響を受けるもの
GvGはメカ種族を主体とした拡張セットなので、現在のメックメイジなどのメカを参照するシナジーを使ったデッキは根本的に使えなくなると考えてよい。(新拡張にメカが多く含まれて新たにシナジーを活かしたデッキが登場する可能性はある)採用率の高いカードである手動操縦のシュレッダーやドクター・ブームも含まれるのでその点も注意。これらは最初にクラフトすべきコモン/レジェンドとして名前が挙がる事が良くあるので、持っている人も多いだろう。
Naxxに関してはそれぞれのカードがどういったデッキに使われているかをまとめた記事があるのでそちらを参照してほしい。無課金プレイで使ったデッキとして紹介した中ではZooとその発展系に使うキーカードが多く含まれていて影響が大きい。
これからのプレイ
来たるべきスタンダードフォーマットに少ない資産でどう対応すれば良いか、自分の考えを書いてみよう。新フォーマット導入と同時にカードのバランス調整が示唆されているので、どのカードを具体的に持っておくべきかという細かい話は出来ないが、基本的には常にスタンダードで使えるクラシックのカードをそろえておくのが良いと思われる。
カードパックを買うならクラシック
カードパックはクラシック・GvG・TGT(グランド・トーナメント)の3種類だが、ゴールドで買うならばスタンダード環境に残り続けるクラシックにしたい。GvGはすぐに使えなくなる上、分解時の魔素が優遇されるわけではないので(上記公式ページ参照)、今ゴールドを消費する意味はほとんどない。デイリークエストでのゴールド稼ぎに最低限必要なカードがあれば魔素でひとまず作っておく程度のスタンスが良いだろう。TGTは少なくともあと1年程度スタンダードで使えるが、癖の強いカードが多いため後回しで良い。こちらも資産が少ないうちはどうしても必要なカードを魔素を消費して作る方が効率的だろう。
また、残念ながら闘技場の報酬になるカードパックはランダムで選べないので、その点は注意。おそらくスタンダード導入とともに報酬からGvGが無くなると思われる。
アドベンチャー(Naxx)は買っても問題ない
同様にスタンダードで使えなくなるNaxxだが、こちらは今からでも買っても問題ないと考える。一区画開放するのに700G必要だが、少なくとも1種のレアと1種のレジェンドが含まれるため魔素に換算すればパックを買うよりも大幅に得することになる。強力なカードも多く含まれるためスタンダード導入まで使い倒して分解すれば損はないだろう。
スタンダードフォーマット導入は無課金・少額課金者にとって厳しいものなのか
冒頭のBlizzard公式ページでは、主に「最近ドクターブームをクラフトした」「最近Naxxに課金した」といった人々から厳しい声があげられている。特に資産の少ない人々はNaxxやGvGのカードに対して何らかの補償措置(魔素分解量の優遇など)を求めている人が多いようだ。しかし、それはスタンダード導入後に現状の資産の差をさらに広げてしまう結果になる事は少し考えればわかるだろう。
一時的には損をしたように感じるかもしれないが、以下の理由の通り長期的に考えればスタンダードフォーマットはカード資産の差を少なくできるルールになっている。
- クラシックと基本カードを揃えておけば年3回程度のアドベンチャー/拡張セットに対応するだけで必要なカードが揃う
- アドベンチャーは探検同盟のように4区画構成ならばデイリークエストで2か月程度のゴールド量に相当
- 拡張セットにはその他のゴールドでパック購入しスタンダードで使えなくなったセットを魔素にすれば必須レベルのカードは作成可能と思われる
現状のアドベンチャー/拡張セットのリリース間隔(年三回程度)が続くと仮定した結果ではあるが、一度スタンダード環境を揃えてしまえば(ワイルドフォーマットで遊ばない前提で)、ほとんど追加の課金は必要なくなるだろう。
今回の新ルールの優位性と懸念点
パワークリープへの対応
パワークリープとはいわゆるインフレ。拡張がどんどんリリースされてカードプールが多くなるとそれだけ有用なカードも増えてくる。必然的に次にリリースされる拡張にはそれ以上の有用性を持ったカードが求められることになる。これが繰り返されるとゲームバランスを壊すほどの強力なカードだらけのデッキが常態化し、必須カードも多くなるため初心者お断りのゲームになってしまう。スタンダードフォーマットは強制的にいくつかの拡張を入れ替えることによりそれを防ぐ仕組みになっている。言い換えれば、このゲームを長く遊べるようなルールにしたということである。
モバイル環境での問題
モバイル環境ではコレクションでカード単体を見たときにどのセットに属しているかの表示がない。(拡張セットの名前等でフィルターを掛けることはできる) 例えばスマートフォンでしか遊んでいないプレイヤーは使っているカードがいつまでスタンダードに残るのか把握しづらいのではないか。コレクションにおけるこのUIはフレーバーテキストが表示されないことと併せてモバイル版の大きな弱点であると考えている。スタンダードで使用可能かはわかりやすく表示する機能が導入されるとのことだが、将来的な事を考えてこのあたりの表示はより改善を重ねてほしいところである。
基本カードとクラシックをスタンダードのベースとすることの懸念
現状では基本カードとクラシックで各ヒーローのデッキを作成すると、そのデッキパワーに大きな開きがあると言わざるを得ない。特にドルイドは現在でも強デッキとされているミッドレンジコンボドルイドの主要パーツが軒並みここに含まれているためかなり強いヒーローと言える。スタンダード導入時に合わせてカード性能を調整するとのアナウンスがあるが、是非うまくやってほしい。
終わりに
いろいろ書いたが基本的にはゲームの楽しみ方の幅が増え寿命が延びるという措置だとポジティブにとらえている。知らずに損をすることがないように上に書いたことを少しだけ頭に入れて遊んでいくと、より楽しく新環境に入れるので参考にしていただければと思う。